候吉(きみよし)温泉

野畑整骨院の駐車場に車を停め、歩く。ひっそりとした家並の中に昭和を思わせる佇まいの建物を見つけた。玄関戸の奥はカーテンが閉まったままだ。営業開始の時間に少々早かった。近くをさ迷い、改めて訪ねる。閉まっていたカーテンは開いている。




自転車に乗った客と一緒になった。中に入ると呼び鈴が鳴るようで、奥から30歳台と思われる女性が出てきた。350円を支払う。浴場は目の前左だ。浴場入口の戸は木製の枠で、水色に塗られている。
脱衣所には木製の蓋付き棚が置かれている。鍵はない。隅にはプラ籠が簡易な棚に積まれていた。同浴の人は常連のようだ。脱衣所に入ると直ぐにエアコンのスイッチを探し当て稼動させた。




透明の引き戸を開けると浴室だ。思いのほか広い空間だ。ピンクのタイル、紺色のタイル、ブルーのタイルなどが壁や床を飾る。左右には洗い場が配置されている。
浴槽は2槽に分かれ、右手の浴槽に湯口が設けられている。湯口側の浴槽は透明感がある。左側の浴槽はささ濁りだ。湯口から落ちる湯の回りは泡が立っている。唇に触れただけで強い塩味を感じる。臭いは感じない。当然湯口側の浴槽が熱め、溢れて流れ込む次の浴槽が適温だ。
浴槽の内側は水色のタイルが貼られている。底はベージュと薄茶色のタイルが貼られている。底材は滑りにくい材質が用いられている。安心だ。




湯口は壁から浴槽に至るまでタイルで覆われている。似たような意匠といえば、日奈久温泉松の湯を思い出す。湯を冷まさない工夫かもしれない。
洗い場は押し込み式の栓が使われている。長い年月を経てきたと思われる。湯は白湯が出てくる。営業開始直後は湯が出てくるまでしばらく時間がかかる。同湯の客が教えてくれた。客は15分ほどで湯を後にした。




後客はない。ひとりっきりの時間は贅沢だ。整えられ掃除が行き届いた浴場は気持ちもいい。
壁に掲げられた宣伝看板に懐かしさを覚えた。すでに解体された内牧温泉の田町温泉にも宣伝看板が掲げられていたことを思い出した。


候吉(きみよし)温泉
阿久根市大丸町60番地
0996(72)1174
含弱放射能-ナトリウム-塩化物強塩温泉
45.4℃
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
350円
13:00~19:00
休:日曜日
2014/8/23