吉松温泉 つつはの湯

JR吉松駅から県道102号を北へ1㎞ほど進む。古びた看板だけが浴舎のありかを教える。
吠える犬はなく、奥にあった家はほとんど解かれ名残を僅かに残すのみであったが、温泉は営業を続けていた。経年劣化が見てとれるセメント瓦は波を打つが、浴舎は立っていた。正月の飾りが扉に下げられている。





扉を開けると脱衣所だ。右手には木製脱衣棚が二方に並び、プラ籠が所々に置かれている。料金は番台に置かれた箱の中に入れる。

浴室は広い。男女を分ける壁に沿い浴槽が配置されている。一つだけ混合栓のシャワーがある。体を洗う際は主に浴槽の周りを利用する。浴槽の淵には飾りが施されている。木の葉をモチーフにしたようなタイルが貼られている。本来の色は白のようだが、常時湯にさらされているところは茶褐色に変わっている。





浴槽に満たされる湯はほぼ透明で、手にすくうとヒノキ臭を感じ取ることができる。湯口の湯を口に含むと、鉱物と油を混ぜたような味を感じる。源泉温度が高いため加水用のコックをひねって水を加える。
浴室を守る壁は所々に穴が開いていたりする。湯に浸かりながら、浴舎が年月にいつまで耐えていけるのかと気がかりを覚えた。





脱衣所の高い位置に古そうな分析表が掲げられている。昭和32年3月26日の分析年月日が記されている。少なくとも60年を超えて営業しているようだ。源泉名にきくの湯とある。営業当初は別の名で異なる業態だったのかもしれない。


吉松温泉 つつはの湯
姶良郡湧水町川西390-1
単純温泉
59.2℃
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
200円
6:00~20:00
2017/1/3