玄関の扉は空いているが、人の気配がない。2時間後再訪すると70歳過ぎと思われる男性に迎えられた。立ち寄り湯をお願いすると500円ですがいいですか?と確認を受けた。
玄関を左へ進むと浴室、案内されたのは女湯である。女湯でいいのかを問ういとまもなく男性は浴室を後にされた。
脱衣所には籠があるのみ。そのほかは一切ない。浴室は昭和の匂いがいっぱいである。
長方形の細長く小さいタイルが浴室の至る所に用いられている。補修されデザインされた柄のタイルも目に留まるが、浴槽を包む水色のタイルなどには懐かしさと美しささえ感じる。
湯口は単純な蛇口で、熱い湯が供給される。すくいとると硫黄の臭いが鼻腔に届く。湯は透明で、口に含むと玉子味が広がる。温泉に身を委ねているという思いが素直に生まれてくる。
湯之元温泉郷は、高速道路を利用すれば鹿児島市内から30分ほどで移動可能だ。霧島や指宿に知名度ではかなわないが、温泉力は負けていない。
昭和の風情が残る春本壮は湯之元温泉の魅力を今に伝える貴重な存在だ。
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湯之元温泉 春本荘
日置市東市来町湯田2139
099(274)2458
硫黄温泉
57.6℃
シャンプー類あり ドライヤーなし
内湯
500円
11:00~20:00
2017/5/5