川内高城温泉街の奥、共同浴場の隣に温泉旅館が建つ。昔ながらの佇まいが残る。
玄関を入り立ち寄り湯をお願いする。スリッパに履き替え、目の前の階段を上り進むと、右手に浴場の入口がある。
家庭用よりやや広い脱衣所にはくすんだ色のタイルが張られている。多くの時間を経ていることが伺える。置かれた椅子の上にはプラ籠が重ねられている。
引き戸を開けると、二間ほどの窓辺に沿い浴槽が配置されている。2つに仕切られた浴槽にはそれぞれ湯口が設けられ、淡々と注がれている。青色タイルに満たされた湯は澄み切っている。湯をすくい上げるとほのかな硫黄臭を感じる。口に含むとトロリ感とわずかに玉子味が伝わる。
浴室内は長い時間の経過と湯気の影響が重なり、古さと痛みは隠せない。見上げると梁はむき出しで、男女を分ける壁の上部はつながっている。窓を開けることはしなかったが、家屋の配置から想像するに隣は共同浴場の壁のようだ。他に利用者はなく、注がれる湯の音だけを聞きながら時間を過ごした。
向いにある双葉旅館、旧五助屋を見せていただいた。こちらは西郷隆盛が宿泊したとのことだ。玄関を入った正面に脱衣所があり、その奥に浴室がある。
浴室は年月の流れを感じる。決して広くはない浴室だ。男女を分ける壁に沿い浴槽は配置され、二つに仕切られている。いっぱいに湯が張られているが、浴槽の底まで澄んで見える。
壁には「不老泉」と刻まれている。こちらも入浴できる。
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川内高城温泉 双葉屋
薩摩川内市湯田6461
0996(28)0018
単純硫黄温泉
52.1℃
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
250円
6:00~21:00
2015/3/22